なんだかエモーショナルなタイトルとなってしまいました。
営業職の人などから「肩が凝り頭痛を引き起こした」「目が疲れて辛い」「首が後ろに曲げられない」などという話を聞く事があります。
デスクワークが不健康になりがちなのは周知の事実ですが、環境を整えることで大幅にストレスを軽減することが出来ます。
モニターだけではなく、それ以外の要素も見直してみましょう。
※今回の記事は医学的なエビデンスはなく、筆者の経験に基づく個人的な意見となります。
プロフェッショナル用ディスプレイメーカーの記事も参考にしましょう。
目次
1.モニターのサイズ
ノートパソコンで作業をする人は多いと思われます。
大体A4(14インチ~)ぐらいのものが多いのではないでしょうか。
しかしそれでは小さすぎます。長時間作業を行う場合は20インチ以上のものが良いでしょう。
スペースが確保できるのであれば27インチ以上のものが望ましいです。
筆者は外出先での打ち合わせや何か閃きを求めるためのメモ以外の用途ではノートPCで作業することはありません。
デスクトップのほうが全てにおいて作業効率が良いからです。
あっ、新幹線の中でSteamのゲームをすることはあります。
もちろん、外回りがメインの人はデスクトップを持って歩く訳にはいきません。
その場合はオフィスでは外付けのものを使用しましょう。
小さなモニターで作業するのは小さな机で作業するようなものです。
都会のハンバーガー屋さんの小さな小さな机で作業するより、校長先生の広い机で作業をしたほうが効率が良いに決まっています。
2.モニターの数
いわゆるマルチディスプレイです。一つの机ではなく、2つ以上の机を使って作業をするようなイメージです。
例えば1台のモニターに参考資料を表示しておき、もう一台は作成資料の画面を表示させます。
こうすればいちいちウインドウを開いたり閉じたりする手間が省け、脳も整頓される感じがします。
モニターの数は3台以上にしても良いですが、増やしすぎると却って効率が悪くなってしまうでしょう。
使用していないモニターの存在が、あなたの集中を妨げてしまうためです。
ゲーム Watch Dogs より
ノートPCでも殆どの機種で外部出力をすることが出来るようになっているので大丈夫です。
出来ればUSBタイプではなくDisplayportやHDMI出力のものを使用しましょう(USBリソースを消費しない&ディスプレイ品質が良いため)
3.モニターの発色
ギラギラした高輝度のモニターは長時間の使用には向きません。
カラーマネジメントに向くようなsRGBの色再現率が高いものが良いです。
映像編集での色調整(グレーディング)では、緑やピンクの偽色は不快になりやすいものとして扱われます。
身近で分かりやすいものとして、新しいiPadやiPhoneは「正しい色」に近い表示できるデバイスと言えます。
また、明るさを抑えられるものを使用しましょう。
パッと見の印象だと、明るい画面は綺麗で見やすく感じます。しかし、明るすぎる画面は疲れ目の大きな要因になると考えられます。だからといって暗すぎる表示だと、可読性が損なわれ、逆に目の負担が増えてしまいます。
EIZOでは、適切な画面輝度に調整を行う自動調光機能(Auto EcoView)の効果について実験を行いました。
– パソコンで疲れ目は何故起こる?パソコン画面と疲れ目の最新事情 – http://www.eizo.co.jp/
4.モニターとの距離
人間関係と同じで、モニターとの距離も近すぎると疲れの原因となってしまいます。
最低でも1メートルは離しましょう。
また、マルチディスプレイであれば行われる距離に立体感をもたせるのも良い感じがします。
少し小さめのモニターを前方に、大きなモニターを後方に置くと、長時間同じ姿勢で同じモニターを見続ける事がなくなります。
5.椅子と姿勢
姿勢は背もたれに後頭部が付くほどふんぞり返ったようなポーズがよいでしょう。
だらしなく見えるかもしれませんが、こうすることで肩や首の負担を大幅に減らすことが出来、また目線が下に向くためドライアイの予防にもなります。ほとんど寝ているこの姿勢は俗に「エンジニア座り」と呼ばれます。
モニターは目線の下に来るセッティングが良いでしょう。
逆にモニターを上部に設置すると首と目線が上を向き、首に負担が掛かりドライアイの原因にもなってしまいます。
猫背もやはりよくありません。
椅子の上であぐらをかくのもリラックスできて良いです。
この図だと背筋を伸ばした姿勢ですが、もっとふんぞり返ってもOKです。
BBC News – Sitting straight ‘bad for backs’ – news.bbc.co.uk
クッションを使用するのもよいでしょう。
姿勢には諸説ありますが、ずっと同じ姿勢でいることは避けるべきでしょう。
また、1時間に1度は軽く運動をしましょう。
立ったまま作業をするのもアリです.
6.環境光(照明)
モニターではなくオフィス等の環境光の話です。
環境光の方向
照明が正面からモニターに当たるのは×です。
自分の背面が窓で太陽光が入ってくる—というのは最悪のケースです。
ディスプレイは紙ではないので光を当てる必要はありません。
パネル自身が発光しているので、周りが明るいとモニターも明るくする必要があります。
環境光の種類
照明には白熱灯、蛍光灯、LEDなどの種類があります。
LEDがよいと思っている人がいると思いますが、この中では実は白熱灯が最も望ましい環境光になりやすいのです。
蛍光灯やLEDは点滅によるちらつき(フリッカー)が多く、また演色性も低いものが多く緑がかった色をしています(緑かぶり)
白熱灯はこれらの点において優れています。
ただし白熱灯は熱効率が悪いため使用は現実的ではないでしょう。
蛍光灯やLEDでも、撮影で使用するようなものはちらつきが少なく演色性が高いものもあるのでそちらを使用したいところです。
環境光の明るさ
日本のオフィスや家庭は明るくしすぎる傾向があります。
朝から晩まで真っ白に照らした中で過ごしていると目が疲れるだけでなく、気持ちも休まりません。(しかも質の悪いちらつきと緑かぶりだらけの環境です)
オフィスは修業の場ではありません。
間接照明を中心としたシャレオツなカフェのような内装デザインが望ましいでしょう。
オフィスの明るさに、推奨される基準があるのはご存知でしょうか。国際規格のISOやデンマークの規格Dansk Standardでは、作業平面上の明るさを500ルクス程度であるようにと定めています。
でも、オフィスは明るくしておけばそれで良いというわけではありません。長い勤務時間の間、シーリングライトや蛍光灯の明るい光の下にいたとしても、ずっとパフォーマンスの高い、アクセル全開の状態で働くのはちょっと難しいでしょう。さらに、働く人の目には照明の明かりに加えて、パソコンディスプレーの光も合わせて入ってきます。基準よりも強い、一様な光をずっと受け続ければ、視神経は緊張した状態が続き、疲れ目や肩こりなどの原因になるとも言われています。
映画「セブン」より
いい感じですね。
まとめ
長々と書きましたが、モニター1枚(数万円の出費)を追加するだけでも作業効率は大幅に抑えられ心身の負担を大幅に減らすことが出来ます。
海外の企業がどうなのかは分かりませんが、制作会社などでないとモニター1台すら与えてくれないケースが多いでしょう(飲みニケーション費用は出すくせに…)ハッ!
その場合は自分で外部モニターを買って自分のデスクに導入しましょう。
「時間給で働いているのだから、そこまでして社畜のようになりたくない」かもしれませんが、投資は会社でなく自分に行うのです。
身体やメンタルを壊してからでは遅いのですよ。
体と心を大事に
しましょう。