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ディレクター=監督
ディレクション – directionとは方向、方面、導き、監督という意味を指します。
そして、WEBディレクターとはWEBサイトにおける監督に当たる役柄です。
映画制作における映画監督と同じポジションです。
そう考えるとディレクターとはとても責任の重い役割だと思えてきますね。
監督者が一人いると、ものが作りやすい
WEBディレクターは責任重大で頑張らなくてはいけない、と意気込む前に、なぜディレクターが必要であるか考えてみます。
「船頭多くして船山に登る」言葉のように、人間は複数の序列なき指導者のもとで物事をすすめることはできません。
そこであらゆることに権限を持つ人間を一人据えることで、案件の関係者が同じ方向を向いてすすめられるようにします。
しかし一人の人間が把握できることには限界があります。
大規模な案件の場合には、ディレクターを補助する人間(サブのディレクター)がいるとよいでしょう。
映画監督の補助として、美術監督や音響監督、撮影監督などそれぞれの分野をまとめ上げます。
WEB制作においてもテクニカルディレクター(システム・エンジニア)やデザインディレクターなどが、より細かい部分を監督し、総監督(WEBディレクター)に概要を伝達することでスムーズに案件を進めることができます。
ディレクターがやること
案件の指導者になる
案件はwebのプロフェッショナルであるディレクターを中心に進めます。
顧客の御用聞きや制作者に作業を丸投げするディレクターは案件を頓挫させ、いたずらに予算と労力を浪費することになるでしょう。
意見を持たないディレクターは必要ありません。
強力な指導力を持った自発的な人物が求められます。
先述の映画監督ですが、どんな映画が出来上がるかを想像できない監督がいるでしょうか。
またカメラマンにどんな画が撮りたいのかを伝えられなかったり、俳優に演技指導するのに逐一クライアントに確認を取る監督が現場で信頼されるでしょうか。
「顧客がほんとうに必要だったもの」を探し当てる
この絵はアメリカの産業界で生まれた風刺画の亜種です。
形が見えないものを具現化することは容易ではありません。
「顧客がほんとうに必要だったもの」を探し当てるためにディレクターは顧客からヒアリングを行い、業界のことを調査し、資料を集め、場合によってはプロトタイプを作成します。
顧客は、自身の要望を叶える効率的な方法を知りません。
この方法はディレクターが考えなくてはいけません。
WEBサイト設計書の1ページ目には案件についてまとめた表を作成し、そこに大きく「サイトの目的/それを叶える手段」を記しておき、案件の関係者全員が把握できるようにしておきましょう。
設計書を作成する
WEBサイト設計書は案件に関わる人が共有します。
設計の内容は具体的に記し、誰が見ても要素の役割が分かるようにしておきましょう。
「作るのが面倒だから省略してデザイナーにポイ」はご法度です。
ポイされた部分は、誰かが穴埋めすることになります。
設計の時点で確定できるものはなるべく確定させます。
スケジュールを管理する
制作の工程が多い場合は、各工程を表にまとめ、スケジュールを逆算します。
また、進捗状況を把握します。
確認作業を管理する
人間はミスをする生き物です。
気合や根性でヒューマンエラーを防ぐことは不可能です。
なるべくミスが起きないような仕組みを作成しておきます。
また、ミスが起こった場合の対処フローも作成しておきます。
チェックリストなどを作成し、複数人で確認作業を行います。
案件を完了させる
基本的で重要な項目です。
なぜ起こる?顧客の「御用聞き」
映画やアニメの批評はそこかしこで行われますね。誰でも「こうすればいいのに」とこき下ろすことは簡単に出来てしまいます。
しかし、これがなぜ簡単なのかというと、具現化されているからなのです。
実際に出来上がったものはまさに「百聞は一見に如かず」。しかし制作工程においてこれを見ることは出来ません。
そう考えると、いわゆるプロトタイプ(試作品)はものづくりにおいて非常に便利なものと言えます(その代わりコストも高い)
さて、webディレクターが顧客の御用聞きと化してしまうのは何故でしょう。
顧客はwebディレクターをプロフェッショナルと見込んで期待をしますが、ディレクターが頼りないと感じた場合は(信頼を無くす)自身がディレクターに成り代わろうとします。
しかしwebの進行に関しては当然ながら素人なので(だからプロに頼んでいるはずなのです)一番わかり易いかたちで進めることになってしまうのです。
それが前述の「実際に出来上がったものを見てみる」という行為に繋がります。
これは設計書を直せばいいだけのことを、家を何回も作って壊して作って壊して…というのと同じようなものです(実際そこまでコストは掛からないかもしれませんが)
信頼を失ったディレクターは顧客の言うことに従うしかなくなり、御用聞きと化します。そうならないためには顧客の信頼を失わないようにしなければなりません。